仮想通貨は、投資方法やタイミングによっては、多くの利益を手にできる可能性を秘めています。
2017年に仮想通貨熱が上昇したころには「億りびと」というフレーズが流行り、その名の通り1億以上の利益を生んだ人の俗称として耳にするようになり、みなその億りびとを目指して投資をしていたと思います。
しかし、多額の利益を得ると財産は増えますが、当然の事ながら、税金の負担も増加することが注意点です。
そのため、仮想通貨投資を行って大きな利益を上げることを目指す場合は、あらかじめ税金に関することも理解しておく必要があります。そこで、仮想通貨の課税関係についてご紹介します。
仮想通貨の税金は雑所得
仮想通貨で利益を得た場合、その利益は所得税法上、雑所得に区分されます。
株や投資信託の所得は、譲渡所得や配当所得に該当し、申告分離課税で一律20.315%(所得税15.315%+住民税5% ※所得税に復興特別税を含む)の税負担です。しかし、仮想通貨は雑所得に該当するため、総合課税となります。
総合課税になると、ほかの総合課税とされる給与所得や事業所得などと合算した総所得金額に対して、超過累進税率が適用される仕組みです。超過累進税率は、総所得金額が大きければ大きいほど、適用税率が上がります。
1億円の所得になると、ほとんどの部分について「最大所得税率45%+住民税税率10%」が適用されます。所得計算上、一定の所得控除は認められますが、それでも5000万円以上の税負担となる可能性があります。
仮想通貨取引で税金が発生するタイミング
仮想通貨取引に関する税制を理解するうえで、どのタイミングで課税所得が発生するのかを理解しておくことが重要です。
まず、仮想通貨の売買取引の場合は、仮想通貨を売却したタイミングで所得が確定します。売却前の含み益状態では課税されることはなく、日本円に換金した時点での売却益が課税対象です。
また、保有している仮想通貨を別の仮想通貨に交換したタイミングでも課税されます。たとえば、ビットコインを売却してリップルを購入した場合、売却時点でのビットコインの売却益が課税対象です。
さらに、仮想通貨を使って商品やサービスを購入した時点も、課税タイミングになります。決済した時点での含み益が実現したとされ、課税される仕組みです。
この事を理解しないでむやみやたらとトレードをしていると、思わぬ税金が掛かってくるなんてこともあるので注意しないといけません。
多数の億りびとが生まれた仮想通貨投資
2018年の国税庁の発表を確認すると、実際に1億円以上の所得があった人の多くが、仮想通貨取引を行なっていたことがわかります。
仮想通貨での取引では源泉徴収はなく、一定の所得以上になると確定申告が必要です。
後述しますが、仮想通貨で生まれた利益(所得)は雑所得扱いとなり、その額が20万円を超えると確定申告を行わなければなりません。
当然、「億りびと」と言われる仮想通貨で1億円以上の利益を上げた人は、確定申告する必要があります。
2017年分として確定申告を行った人の総数は、2198万人でした。そのうち、仮想通貨の所得かどうかを問わず、1億円以上の所得があったと申告した人は全部で549人います。
日本経済新聞の記事を引用すると
(日本経済新聞2017年5月25日)
国税庁は25日、2017年に仮想通貨取引を含めた収入が1億円以上あったと申告したのは331人だったと発表した。
国税庁によると、17年分の所得税の確定申告を提出したのは2198万人で、16年分からほぼ横ばい。所得額は41兆4298億円で16年分から約3%増えた。緩やかな景気回復などが背景にあるとみられる。
全体の申告から公的年金以外の雑所得の収入が1億円以上あった549人を抽出。このうち、仮想通貨取引による収入があったのが331人だった。同庁が仮想通貨関連の申告の集計結果を公表するのは初めて。
今回の集計の対象になったのは仮想通貨の売却などで損益を確定したうえで申告手続きをした人だけ。331人という数字について、国税庁「おおむね適正な申告がなされたのではないか」としている。
つまり、1億円以上の所得があった人のうち、仮想通貨による所得があった人の割合は、実に約60%というのが2017年の結果でした。
しっかり管理しないと思わぬ追徴課税を受けることも
2017年から2018年にかけて、仮想通貨は急騰と急落が短いスパンで発生しました。
2017年にビットコインは一時200万円を超える価格をたたき出し、その恩恵を受けて多額の利益を出し、他の仮想通貨に乗り換えた人が多数いました。
しかし2018年、ビットコイン、アルトコイン等すべての仮想通貨は暴落します。
そこには大きな落とし穴が待ち構えていたのでした。
つづく。
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